細胞小器官のはたらきを解明するには、どうすればいい?
細胞に存在し、役割を担っている構造を総称して細胞小器官といいます
例えば、葉緑体や核、ミトコンドリアなどが挙げられます
おそらく一番知名度が高いのは、葉緑体で光合成という化学反応を行い有機物(栄養分)を合成します。この植物細胞に存在する葉緑体とそのはたらきは、当たり前なことのごとく教科書に載っています。
植物細胞は光合成を行います。このことを調べるのは決して難しくはありまん。ただ、植物細胞を用意して、光合成が行うのに必要な条件を整えてあげればいいだけです
しかし、植物細胞には下の図のように、葉緑体以外にも核やミトコンドリアといった他の細胞小器官も存在します。では、なぜ植物細胞のいくつもある細胞小器官のうち、葉緑体(のみ)で光合成が行われていると判定することができたのでしょうか??
あなたなら、どのようにして調べますか??
細胞分画法
研究者は、細胞小器官を種類ごとに分けられれば、各細胞小器官のはたらきを調べることができると考えました(葉緑体だけにして光合成に必要な条件を整えるとどうなるか?ミトコンドリアだけにして光合成に必要な条件を整えるとどうなるか?を1つ1つ調べれば、面倒だけど細胞小器官のはたらきを解明できると考えました)
このように、細胞小器官を種類ごとに分ける方法を細胞分画法といいます
次は、どのようにしたら細胞小器官を分けることができるでしょうか??
これが難しく研究者の頭を悩ませました。肉眼では見えないものを傷つけずに分ける。
これを可能にしたのが、遠心分離です。重たいものほど沈殿しやすく、軽く遠心するだけで沈殿します。
まず、ホモジュナイザーという機械で細胞をつぶし、細胞の中身(細胞小器官)を取り出します。その後、小さな力で遠心し、大きな細胞小器官を沈殿させます。次に力を大きくして遠心して沈殿物を取り出します。この作業を様々な力の遠心力で繰り返すことで、細胞小器官を種類ごとに分けていきます。最初にこの方法を考え付いた人は、なかなかのかしこですよね。
その他、研究方法
細胞分画法以外にも細胞の研究を進めた研究方法はいくつかありますが、代表的な2つを紹介します
- 放射性同位体の利用
放射線を放出する同位体を用いて、細胞内構造や細胞内の物質を追跡して存在場所や移動を特定する(局在を調べる)研究方法です。まぁ言ってみれば、GPSみたいなことです。
通常は放射線は放出しないので、放射線を放出する原子を入れ込めば追跡することができます。 - 細胞培養の確立
細胞をシャーレなど培養できるようになり、急速度が飛躍的に上がりました。研究は、誰よりも早く論文にしてまとめないと価値がないので、研究速度はとても重要です。極端ことを言うと、誰よりも早く効率的に研究し、立証できるかが、最も大切です。
いちいち生物から細胞を回収せずに済み、また季節性の高等植物の研究を年間通して研究できるようになりました。
試験管やシャーレ内など生体外での研究を ” in vitro “
生体内での実験を ” in vivo ” といいます。
細胞の大きさ補足
細胞は、肉眼が観察できない μm レベルの大きさです。と言ってしまっても基本的には問題ありませんが、もちろん例外はあります(生物は例外だらけの学問なので)。一番有名な大きい細胞としては動物の卵です。ニワトリの卵も細胞で、毎日のように目にしている人が多いのではないかと思いますが、ヒトの卵も肉眼で確認できます。また、比較的に大きい単細胞生物でゾウリムシも肉眼で観察することができます。
大腸菌といった原核細胞も μmレベルで、光学顕微鏡で観察することができます。しかし、ウイルスや細胞をタンパク質など構成する分子は nmレベルで、電子顕微鏡でないと観察できません。まとめると、
肉眼 | 光学顕微鏡 | 電子顕微鏡
ヒトの卵 | 多くの細胞 | ウイルス全般
ゾウリムシといった大きい単細胞生物 | ミドリムシ | タンパク質といった高分子
ちなみに、地球上で一番大きな細胞はダチョウの卵で、長径が16cmほど、幅が13cmほどの大きさで、重さは1kgを超えてニワトリの卵25個分くらいです。殻も非常に硬く、トンカチ等で割るほどです。先の尖ったくちばしをもち、内側から割るといってもダチョウの雛ってすごいですよね。
また、一番長い細胞は、ヒトの坐骨神経で1mほどもあります。
次回予告
最後まで読んでいただき、ありがとうございます!!
次回は、細胞内の構造(細胞小器官)についてです。光学顕微鏡や細胞分画法によって、解明された細胞小器官の紹介をついてです。
次回も記事内容だけでなく、まとめ方やレイアウトなど、nishi008の成長と共に温かい目で楽しんでいただけると、嬉しいです。
ではまた~👋
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